へしこ

「へしこ」は、2007年12月、「さばのへしこ」として、農山漁村の郷土料理百選のひとつに選定された福井県若狭地方の郷土料理。
鯖街道を歩くための塩鯖から生み出された北陸の代表的な珍味です。
「へしこ」とは、鯖に塩を振って糠漬けにしたいまで言う水産加工品の一種。越冬や長距離輸送のための若狭地方の伝統的な名産品です。

日本海に面した福井県若狭地方には、”京は遠くても、十八里”と言う言葉があります。
その昔、魚を背にした商人や、海産物を満載した荷車の往来で大変賑わったと伝えられている鯖街道は、今でいう福井県小浜市から京都市左京区の出町柳までの区間を指し、その距離約70キロ、当時の軽量法でちょうど十八里だったところから生まれた言葉だそうです。
この道はもともと、若狭地方で水揚げされた魚介類を京の都に運ぶために整備されたものでしたが、現在の国道とは違い、近江山系の尾根を伝う厳しい経路でした。
必死に歩いてもまる一日かかります。
冷凍技術などなかった当時は、生のままの魚などとても運べませんでした。
そこで、若狭湾で取れた鯖に塩をまぶし、昼夜休まず京都まで運んだのです。
すると、鯖の塩の回り具合がちょうど良くなり、取り分けグルメだった京都の人々に大変喜ばれました。

以来、いつしかこの道は”鯖街道”と呼ばれるようになり、夜中に寝ずの峠越えをする旅人たちは、その疲労や恐怖を吹き飛ばすために”京は遠くても十八里…”と大きな声で歌いながら歩いたそうです。
けれど、真夏はちょっとやそっとの塩具合ではとてももちません。そこで、「塩鯖」を地元ではより長く保存できるようきつめの塩をし糠に漬け込みました。
これが「へしこ」です。なぜ「へしこ」と呼ばれるようになったかは、定かではないそうです。

「へしこ」は鯖が一番脂ののった秋につくります。最初にとれたてのさばの内臓を取り出し、一旦塩漬けにした鯖を樽に入れ、さらにたっぷりの塩を入れて重石をします。
4〜5日置いておくと鯖から水分が出ます。十分水分が出たら、その水分といっしょに、鯖の腹のなかやまわりに、ぬかと醤油、酒、たかのつめなどをまぶして漬けこみます。
重石をして、鯖が熟成するまでの1年ないし2年間眠らせます。十分熟成すればするほど味のある「へしこ」が出来、又、鯖に脂があるほど、「へしこ」は、辛くありません。
今では保存食の一つとして、「へしこ」は若狭地方だけでなく、能登半島の方でも作られています。
さらに、鯖に限らず、いわしやフグなどの「へしこ」が登場し、各地の郷土料理や名産品になっています。

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